187.おすすめの本『アンちゃんの日本が好きすぎてたまらんバイ!』

皆さん、こんにちは。日本語の先生のりこです。


今日はですね、おすすめの本です。私は、今年の3月に読み終えました。エッセイですね。タイトルは「アンちゃんの日本が好きすぎてたまらんバイ!」。これ、博多弁です。「アンちゃんの日本が好きすぎてたまらんバイ!」。これはですね、まずは、ちょっとアンさんの説明をしたいんですけど、この本を書いたのは、アン・クレシーニさん。アメリカ人の方ですね。プロフィールを読むと、このアンさんは、アメリカ生まれだけど現在福岡県に在住。北九州市立大学の先生で、和製英語と外来語について研究している先生です。アンさん自身で発見した日本の面白いことを、博多弁と英語で綴るブログ「アンちゃんから見るニッポン」が人気、というアンさんなんですね。私は、アンさんのツイッターのアカウントをフォローしていて、その中でよくね、面白いツイートを読ませてもらっているんです。はい、日本語が本当にペラペラ、アンちゃん、アンさん。はい。で、本当にいつかね、彼女の本を読んでみたいなと思って、その一冊目として、この「アンちゃんの日本が好きすぎてたまらんバイ!」


この「バイ」、最初に「バイ」を説明しておきますね。これ私もよくわかりませんけど、博多弁の、語尾につける。ちょっと強調する感じなのかな、多分ね。で、でも、私から見るととても可愛い言い方なんですけど、多分「なんとかバイ」っていうのは、「なんとかだよ」、「だよ」、そういうだと思います。なので、「アンちゃんの日本が好きすぎてたまらんバイ!」っていうのは、「アンちゃんの日本が好きすぎてたまらないよ!」っていう感じなのかな。はい。


ま、それはおいといて、このエッセイはね、皆さんに本当に読んでもらいたいです。なぜなら、皆さんも、日本語を勉強している、アンさんと同じで、必ずアンさんと同じようなことを考えたり、見て悩んだり、しているはずなんです。はい。なので、アメリカ人のアンさんから見た、ま、実は日本人でもどうしてこんなしきたりがあるのか、こんな習慣があるのかうまく説明できない。それをアンさんから見て、経験して、「へー、それへんでしょう?」っていう不思議な話とか、あとはたくさんの和製英語の話とか、そして日本が大好きな、本当に大好きな、もうずっと日本に住みたいと思っているアンさんが考える日本の素晴らしさを、改めて、日本人の私にも伝えてくれる、面白いエピソードとか。あとは、日本語、今では本当にペラペラで、上手に使えるアンさんだけど、でも、それまでの過程で、たくさん失敗もあった、という失敗の話とか。


ということで、この「アンちゃんの日本が好きすぎてたまらんバイ!」の中には、多分そのブログからかな、それが新聞にも掲載されてるのかな、その中の話を選んで特別に本を作っている話で、本当に皆さん共感できたり笑えたり、「うわー面白い」とか、あと日本人の人が読んでも、「あ、こんなところで驚くんだ」みたいな感じで、本当に面白かったです。これ、日本人の先生が、日本語の先生が読んでもいいかもしれない。そして、日本語を長く勉強している、または日本に住んでいる外国人の方にも本当にお勧めできる本なんですね。はい、共感できるところが、てんこ盛りです。はい。


で、あの、私本当に、読む中で、アンさんの大ファンになって、これ本当に日本語で書かれているんですよ。本当にこんな素晴らしい、ユニークな文章を書くアンさんがすごいと思ったし、ここまで、多分たくさん努力して日本語を勉強されたんだろうなって思ったし、これ、私のポッドキャストね、アンさんが聞いているわけはないんだけど、でも一ファンとして「アンさん!私のポッドキャスト、インタビューに出てください!」「ゲストに出てください!」って言ってない、言ってたら、どこかで繋がることができないかなと思うんだけど、まあ、まあ、まあ、私からまだアクションとってないですね。はい、本当に有名な方で、なんかテレビとかにもよく出てるのかな。


はい。でね、面白いエピソードがたくさんあるので、全部紹介しきれないんですけど、その中の一つはですね、ちょっと一つね、紹介したいんですね。じゃ、ちょっとそのページを開くんですけど、その、このページはですね、「普通に無理。普通に無理ってどのぐらい無理?」というタイトルで、とても面白いんですけど、

ある日学生が「あれは普通に無理やろう!」みたいな発言をした。言葉に敏感なアン先生のアンテナに引っかかった。「待って待って!普通はよくもないし悪くもないという意味で、無理は可能性がないという意味だ。やけん?普通に無理って一体どういう意味?」と思った。



確かにですね。「普通に無理」ってどういうこと?ちょっと混乱しそうな感じじゃない?皆さんすぐに意味がわかりますか?で、アンさんは、すぐに聞くんですね。じゃ、続きを読みますよ。


早速学生に聞いてみた。答えは、「普通に無理」は、「無理無理」、「無理」、「どうみても無理」、ま、可能性はゼロでもないけど、「やっぱり無理」ということやった。


面白いね。じゃ、さらにね、アンさんは突っ込みを入れるんですね。


じゃ、「普通に美味しい」は?


ね、この表現、「普通に美味しい」と言う人いますね。


「普通に美味しい」は?と、しつこいアン先生は聞いた。「思ったより美味しい」、「食べる前にあまり美味しいと思わなかったけど、実際食べてみたら美味しかった」というときに使える。「普通に美味しい」。やけん、「普通に無理」と「普通に美味しい」の意味は、全然違うらしい。


はい、ここまで行くと、じゃ、どういうふうに「普通」という言葉を使ったらいいの?ちょっと混乱しそうじゃない?でも、「普通に無理」っていうのは、ほぼ「無理」。「普通に美味しい」っていうのは、「案外美味しい」ということなんですね。はい。このように普通の生活をしている日本人は、もうなんか、違和感なく使っているような表現かもしれないないんだけれども、この日本語をたくさん勉強してきたアンちゃんはですね、アンさんは、「何これ、どういうことなの?」ともっともっと深く知りたいということね。そういう、ま、このエッセイを読むと、このアンさんがなんでこんなに日本語が上手になったのか、なんか、わかる気がするんですね。とにかく疑問に思ったら、放ったらかしにしないで、いろんな人に聞いて、納得いくまで説明を求めて。そして、「ああ、面白いな、この言葉。」本当に言葉が大好きなんですね。日本語が大好き。「日本が好きすぎてたまらんバイ」だけじゃないんです。「日本語が好きすぎてたまらんバイ」のアンさんの熱い日本語への思いがたくさん書かれている本なんですね。はい。


あとね、面白いなと思ったのは、「イクメン」。これもさ、イクメンというのは私ずいぶん前のポッドキャストのエピソードで取り上げた話ですね。「イクメン」。子育てや家事をがんばる旦那さんのこと、「イクメン」。で、この「イクメン」という言葉、面白いですけど、アンさんのこのページの紹介では、じゃ、ちょっと読みますね。


私の夫はめちゃくちゃイクメンだ。ただ、私は「イクメン」という単語があまり好きじゃない。だって、私たちの子供やけん?二人で育てないー 


博多弁で書かれてるからちょっと読みづらいんですね


二人で育てないかんと思うー 


もう一回読みましょう。


だって、私たちの子供やけん、二人で育てないかんと思う。私も夫も仕事をしていて、一緒に家事も育児もする。「たまに彼はよく手伝ってくれる」という表現を言ってしまうけど、考えたら、それはおかしい日本語やね。「手伝ってくれる」と言ったら、家事や育児は主に私の仕事だというニュアンスがあるやろう?けど、家事は私一人の仕事じゃなかろう?


と言って、旦那さんの話、アンさんの旦那さんの話が続くんですよね。ああ、確かに私そんなふうに考えなかったと思って、家事や育児はお母さん、お父さん両方の平等な仕事であるから、「私の旦那さんイクメンなのよ」っていうの、ちょっと変ですよね。当たり前だから、という視点かな。はい、これも、ま、アメリカ人のアンさんならではの視点の意見かなと思って、私はとても面白いなと思ったんです。


はい。他にはないかな。えっとね。はい。あ、じゃ、曖昧さ。これもね、とても面白いと思ったんです。皆さんもご存知のように、日本人ってはっきり言わないことがありますよね。イエス・ノーってはっきり答えないで、ちょっと真ん中のグレーゾーンで、はい、答える日本人。曖昧な文化、なところがあるんだよね。で、そのページのタイトルは、「いつか。いつかは永遠に来ない」。これね、日本人の心がわかっている人、本当によくわかることなんですね。「あ、またね!」とか。あの、例えば、ちょっと食事に行きたい。ね。「いつがいいかな。」「ちょっと最近忙しいから。」「あ、今度の土曜日はちょっと…あ、いつかね。」この「いつかね」とか言われると多分二度とないですね。絶対ないかもしれない。「いつかは永遠に来ない」というタイトル、とっても共感できたんですけど、その部分をまた読んでみたいと思います。


日本の文化では、曖昧さは魅力だから、曖昧さの表現もたくさんある。私は一昨年まで、「それは難しいな」という表現の意味がわからず、「ま、難しいけどできるかもしれない」という意味で受け取っていた。だって、英語では「That's difficult」と言ったら、「難しいけど頑張ればできる」みたいなニュアンスがあると思う。けど、日本語の「えっと、それは難しいかも」の意味は、「無理やん」、「絶対にできない」じゃない?


そうなんです。皆さん、これね、ビジネスでよくある返事かもしれない。「ああ、それはちょっと難しいかもしれませんね」と言われたら、実は「無理ですよ」って言われてることなんだよね。うん、本当に曖昧じゃない?はっきり言ってよっていう感じなんだけど。他に、じゃ、続きますよ、この内容ね。他に、「行けたら行く」もある。はい、これ本当にいいところ、ついてくるアンさん。日本人言いますよね。「あ、行けたら行くよ。」「あ、今度カラオケみんな行くんだけど、典子さんもどう?」「あ、ん、行けたら行く。」これ、いかないってことだと思います。はい。


他に、「行けたら行く」もある。もしかしたら、本当に行く気がある人がいるかもしれないけど、多くの人は「いかんバイ」やろう。


ま、博多弁使っているんだけど、「行かない」っていう意味で、「行けたら行く」って使ってるんですね。なんて曖昧な返事なんでしょうか。


はい。でも、皆さん、皆さんの日本人の友達とか、日本人の同僚の返事を研究してみてください。多分ね、「あ、それは難しいかも」。はい、これは「無理です」って言ってることですよ、皆さん。「いや、行けたら行くね」、「行きたくない」、または「「行かない」って言ってることなんですよ。


はい。このように日本の文化は、曖昧さの表現が溢れています。だから、日本人の心を理解するのは難しいんです。はい、なのでね、私のコミュニティでは、最近何度も言ってるけど、「日本人の心がわかる日本語」っていう本を読み進めているんだけど、このアンさんの書いた「アンちゃんの日本が好きすぎてたまらんバイ!」これもね、私、教科書ぐらいの、もう、大切に、あの、皆さんにおすすめしたい本ですね。ま、ただ、博多弁がたくさん溢れているので、博多弁がわからない人もいるかもしれない。でも、それは雰囲気で。はい、本当にアンさんの日本語の旅、日本の生活の旅を、面白おかしく読める素晴らしいエッセイになっています。


はい、今日はここまでにしたいと思います。はい、またね。



Japanese with Noriko

A fully qualified Japanese teacher and also the creator of the Japanese podcast, LEARN JAPANESE WITH NORIKO.

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