Season 3-150 コンビニ人間 What Is “Normal”? A Deep Dive into Convenience Store Woman

みなさん、Japanese with Norikoシーズン3、今日は動画付きでやっていきたいと思います。今日は3月31日、2026年3月31日に録音しています。元気?明日から4月です。早いですね。4月、5月、2026年、まだあります。はい、みなさん頑張ろう。

はい、今ね、お水を飲みながら話しているんだけど、本題に入る前に、このね、コップ。じゃ、これは去年のクリスマスにオーストリアのウィーン(Vienna)でクリスマスマーケットに行って、そこでもらったものなんですね。飲み物を買って、このコップをもらえます。

で、私、これすごく気に入っていて、ドイツ語ですよね。ごめんなさい、ドイツ語、分からないんだけど。ここに平和のシンボル、鳩(はと)のマークがあって、でね、よくこの小さい字のところを見たら、いろいろな言語で「平和」を書いてあるんです。だから、例えばスペイン語でPaz、Pazかな、多分、発音違ったらごめんなさい、とか、日本語もあるんですよ。見える?ちょっと小さい。で、平和、ちょっと小さいよね。平和って書いてあったり、はい、いろいろな言語で書いてある。なんかいいコップでしょ。いいお土産になりました。

はい、じゃあ、お水を飲んで話していきたいんですけど、今日のトピックは日本の現代文学の中の名作、私の大好きな村田沙耶香の『コンビニ人間』についてもう一度話したいと思います。

もう一度、と言ったのは、私全く同じトピックで、4年前、5年前話してるんですね。それはシーズン1のエピソード299、シーズン1エピソード299でも『コンビニ人間』をすすめています。で、再度、私は話したい。話したいんです。

で、シーズン1の時にはエピソードも短いし、ゆっくり話してるんだけど、このシーズン3のために、もうちょっと普通に、上級者用として、エピソードを作り直したいと思っています。はい、ということで、今日のテーマは『コンビニ人間』。

皆さん、小説を読まない人も多いと思うんだけど、この『コンビニ人間』は英語訳にもなっているし、皆さんの母語でも翻訳されていると思うので、興味があれば、ぜひ手に取ってもらいたい。なぜなら、たくさん考えるポイントがあるんです。日本っぽいところもあれば、たぶん世界共通のテーマもたくさんある。だからこそ人気だと思うんだけど。

はい、なので『コンビニ人間』。じゃあ、まずちょっとメモをここに用意して、それを見ながら話していくんですけど、このテーマ、一つの大きなテーマは普通、普通って何ですか。普通、これはとても深いテーマなんです。

何が普通なのか。これはその社会の規範(きはん)というものがあって、その規範から見たときにこうするべき、こうあるべき、それに従っているのが普通なのか、そこから外れたらその人はおかしい、異常と見られるのかというのがテーマの本です。

で、この主人公は恵子さん。恵子さんという女性で、この恵子ちゃんは、子供のときにちょっと周りから見たら、え?って思うような行動をする子供だったんですね。だから先生とかクラスメイトは、恵子ちゃん、ちょっとおかしい、ちょっと変、みたいに見られていきます。

で、ここでは子供のときのエピソードは話しません。とっても面白いので読んでみてもらいたいんですけど、その子供の頃の経験があるためにね、一つ、これは言ってもいいかな。お母さんが、どうやったら恵子は治るのかな、治るのかな、みたいな発言が出てきて、いろいろな病院に連れて行かれるんですね。

で、恵子ちゃんは、その子供の頃の経験から、あ、私はちょっと他の人とずれているのかなと気づいて、周りに溶け込もうと努力を始めるんです。

で、恵子さんは、成長するにつれて、周りの人をよく観察して、周りの人の話し方をまねてみたり、みんながよく着ている服装をまねてみたりして、周りに溶け込もうとしていくんですね。

はい、で、私ひとつみなさんにここで問いかけたいです。普通と異常って、はっきりと分けられるものだと思いますか?

私はこの本を読んでいて、実はグレーなゾーンがたくさんあって、曖昧で、はっきり分けられない、または、見る人によって、分け方、感じ方が変わってくるポイントだなと思いました。だから、この普通とは何かっていうのは、大きなテーマなんですね。

じゃあ、話を続けます。この恵子さんは大きくなって、18歳だったかな、そうですね。18歳の時に、コンビニで仕事を始めます。

このコンビニの仕事が、恵子さんにとっても合っているんですね。なぜなら、コンビニにはマニュアルがあって、このマニュアルインストラクション通りに仕事をすれば、自信をもって仕事ができるわけです。恵子さんにとってこのマニュアルが必要だったんですね。

コンビニのルールの中で働くことは、恵子さんの居場所になって、自分は社会の一員だと思わせてくれるきっかけになります。それからずっとアルバイト店員として定職につかず、会社員みたいな仕事をせず、コンビニの店員の仕事を続けていって、そして今、30歳になるわけですね。30代。

ここからですね、恵子さんはいろんなプレッシャーをさらに受けていきます。ここも日本の社会のプレッシャー。

例えば、30代になってて、まだ恋人がいないの?異性と付き合ったことがないの?結婚しないの?というプレッシャー。恵子さんも地元の友達とそういうプレッシャーの会話が出てきます。そこはとっても面白い。

あと、ずっとコンビニで働いているアルバイト店員。そこで、え?正社員にならないの?アルバイト店員、続けている。どういうこと?そういうプレッシャー。いろんな人に聞かれるわけですね。

これって、みなさんの住んでいる場所にもありますか?ある一定の年齢になったら、結婚しないの?パートナーがいたら、子供、作らないの?会社員として働いていなかったら、フラフラしているように見える?それであなたはいいの?みたいな目で見られる。そういうことってありますか?

あと、一人でいることが好き。恵子ちゃんは、別に恋人、いらないんです。コンビニで働いていれば幸せなんです。そんな恵子ちゃんに対して、結婚しないの?それはとっても失礼な発言だと思うんだけど。

一人でいるのが好きな人いますよね?そういう人はちょっと変わっていると見られる。それはどうなんでしょうか?あと、そうですね・・・みんなと同じでいることが普通なのか?または、みんなと同じでいることで、安心できる?安心感につながる?

みなさんどう思いますか?少しそこから外れるだけで、プレッシャーを感じる?そういう日本の社会はまだまだあるようです。

あと、もう一つ面白いポイント。この小説に後半部分、白羽(しらは)という男性が出てきます。この白羽(しらは)さんが、私、大嫌いなキャラなんですけど、本当に、うーっていうキャラなんですけど、あまり詳しくは話しません。

白羽(しらは)さんも、実は、社会からちょっと外れた存在として描かれているけど、恵子さんととっても違うタイプです。でも二人とも社会から外れた存在。

白羽(しらは)さんは男性だから、男性のポイントで苦しみを受けてきています。たとえば白羽(しらは)さんも、独身、定職を持っていない、ふらふら転職を続けている。だから結婚しないのか、ちゃんとした仕事を持たないのかというプレッシャーを感じて生きてきているんですね。

この白羽(しらは)さんの生き方・考え方と、恵子さんの生き方考え方、似ているようだけど違う。とても違う。この二人の対比も、この小説でとっても面白いポイントです。

じゃあね、印象的な部分を私ちょっともう少し具体的に話したいと思いますね。恵子はコンビニでずっとアルバイト店員で働くんですけど、彼女の考えは、コンビニで働くことは自分が部品になったみたいだと考えるんですね。

よくこの小説の中に出てくるのは、「歯車」です。歯車は、何かイメージをつけとこうか、こうはまったらぐるぐる回って、あとは機械的に動いていくだけ。歯車の一部になったように感じている恵子さんなんです。でもそれは恵子さんにとっていいことなんです。幸せなことなんです。

自分の存在を、社会のシステムの中で、機械の一部みたいに考えているんですね。みなさんこの恵子さんの考え、どう思いますか。私たちも毎日毎日同じ生活をして、社会の歯車みたいに感じることがありますか。

あともう一つ、面白い部分です。これはですね、恵子さんが、地元の友達と会って、そこに地元の友達と友達の旦那さんが集まって、ちょっとハウスパーティーみたいなことをしている場面なんですね。

恵子さんに、地元の友達とかが、旦那さんとかが、いろいろなコメントを言うんですね。どうしてコンビニの仕事を続けているかと聞かれて、恵子さんはこう答えるんです。

他の仕事は経験がないので体力的にも精神的にもコンビニは楽なんです。

そう答えるんですね、恵子さん。するとですね、友人の旦那さんは、まるで妖怪でも見るような顔で恵子さんを見て、次のように言うんです。

え、ずっと。いや、就職が難しくても、結婚くらいした方がいいよ。今はさ、ほら、ネット婚活とか、いろいろあるでしょ。

みたいなことを言うんですね。

私はねこの部分を読んだ時に、うわぁくだらない男だなぁと思って、ちょっと腹が立ったんですけど、でもこんなことを考えて言う人、多分たくさんいるんだと思います。

これを読んでいて、私は恵子さんを理解したいと思うし、恵子さんの生き方を尊重したいと思うし、そんな恵子さんに周りの人はとやかく言う必要ない、と強く思いました。

はい、いろいろ考えてほしい本ですね。じゃあこの小説が伝えていることは、普通とは何か。ちょっと自分がずれているところ、誰にでもあると思うんですね。それを押し殺して社会に合わせるべきなのかどうか。

あとは、あとは、自分の幸せ、どうやって決めたらいいのか。で、生きづらさ。誰にでも生きづらさを感じる部分あると思うんだけど、それは個人の問題だけじゃなくて、社会の考え方、この社会の価値観、周りからのプレッシャーに原因があるんじゃないか、ということを感じさせてくれる本です。

はい、『コンビニ人間』は、とっても短いですが、今みたいに深いテーマがたくさんあるので、ぜひ英語でも、いろんな言語でも、日本語でも、読んでもらいたい、手に取ってもらいたい本ですね。私のプライベートプログラム「小説を一緒に読もう」のプログラムでこれを選んでくれてもいいかな。一緒にこの本を読んでディスカッションしてみたいですね、私と。ぜひプログラムにお申し込みください。

はい、じゃあ今日はここまでです。私のコミュニティJapanese Togetherには毎月ブッククラブをやっていて、皆さんが読んでいる本を持ってきてもらって、そしてその本を紹介するというブッククラブをやっています。最初ちょっと静かに読んで、その後、みんなで本について紹介し合うというブッククラブですね。興味がある人はJapanese Togetherをチェックしてみてください。

はい、それでは今日は『コンビニ人間』について話しました。以上です。

Japanese with Noriko

A fully qualified Japanese teacher and also the creator of the Japanese podcast, LEARN JAPANESE WITH NORIKO.

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