Season 3-127 生きづらさとどう向き合う?小説『三十の反撃』から考える
みなさん、こんにちは。 Japanese with Noriko シーズン3。 今日も動画付きで話していきたいと思います。 日本語を学んでいるみなさんと一緒に、 今日はみなさんの心、気持ち、精神状態、 ちょっと深いテーマで話していきますが、 全体的としては、ちょっと暗い、 暗いエピソードになるかもしれない。 なので、私は静かに、元気よく、じゃなくて、 静かに語りかけるように話していきたいと思います。
今日のテーマは、生きづらさ。 生きづらさって何だろう? 最近みなさん、なんか生きるのがしんどいなぁ、 なんか疲れてるなぁって思った時ないですか? 生きづらい。生きるのが大変。 生きづらさ。 これね、かなり悲しい言葉ですね。 生きづらさ。病気の名前ではありませんよ。 でも、私たちたくさんの人が日常生活の中で、 なんとなく感じている苦しみ、つらさを表す言葉ですね。
例えば、ふとした時に孤独を感じる。 私ひとりぼっちだ。誰も私のことわかってくれないと感じる時。将来が不安で、 私の未来はどうなるの? と思う時。たくさんやらなきゃいけないことがあるけど、 何から手をつけたらいいかわからない。 やる気が全然出ないと思う時。誰かと比べて、自分のことを比べちゃって、 自分はダメだと強く責めてしまう時。
いろいろな時があると思うんだけど、 それは、もしかしたら、生きづらさということにつながっているかもしれません。 今日は、私が最近読んだとっても考えさせられた本、小説、 三十の反撃から、このテーマについて考えていきたいと思います。 作家さんはソン・ウォンピョン。 韓国人の作家さんで、日本語訳で読みました。
主人公の女性は30代、手前。 正社員ではなくて、インターンみたいな、 お給料もらえるけど、正社員じゃない立場で会社で仕事をしています。 いろいろな会社に履歴書を送り続けて、正社員を狙っている。 大きな会社で働きたいんですね。 なぜなら、たくさんの人、社会は、大学を卒業して、 大きな会社に入ったら生活は安定する、という価値観のもとで動いているからです。
その価値観に支配された主人公は、やっぱり、ちゃんとした会社で仕事をしたいと思っているわけです。 特に印象的だったのは、 この中で、これは韓国社会ですけど、 弱い者と強い者という社会の構図がはっきり描かれています。
強い者、例えば有名な会社。 会社の中でも上司。 上の人、強い。 弱い人、正社員じゃない人。 何か命令される立場、弱い人。 常に強い立場にいる人は、弱い人を無視したり、支配したり、コントロールしようとします。 弱い立場の人を利用しようとします。 弱い立場の人は、それに対して不公平だ、理不尽だと声を上げることさえ難しい。 こういう社会が描かれていて。 でも、この主人公は、ある人に出会ったことで、 その社会に対して小さな反撃を試みていきます。 いろんなことが起きていくというお話です。
面白かったのは、 ここの小説の中で、一部、 ある人は、この主人公、女の人に、 「ところで、本当にやりたいことって何ですか?」って聞かれるんですね。 これを聞かれるのは、この女性にとってとっても大変なことなんです。
かなり攻撃的な質問だった。 失礼だと感じるほどに、本当にやりたいこと? その質問を受けて苦しくない人がどれだけいるだろうか、 実は私もわからないと言えなくて、 なんとかその質問を避けに避けてここまで来たのに、 あるいは、昔抱いていた夢が遠のいたことを認めたくなくて、 もっと遠くに来てしまったのに、 それを今さらどうしろと。 (引用)
つまり、この主人公の女性は、 自分がやりたいこととは違う仕事をやっていて、 しかも正社員じゃない。 将来のことも心配、周りからプレッシャーもあるという立場で、 生きづらさを感じているんです。 で、私は感じました。 どうしてたくさんの人はこの生きづらさを感じているのか。
特に日本とか韓国でこのテーマは大きいです。 ドラマとか小説にこの生きづらさをテーマにしたものたくさんあるんですね。 で、もちろん社会的な理由があると思うんです。 一つ目、集団社会。 日本も韓国も集団主義の社会ですね。 この集団主義には良いメリットもたくさんあるんですよ。 みんなが同じように行動することで、 ルールや秩序が守られているんです。 それは良い面です。
でも、逆に言うと、みんな同じじゃなきゃ。 みんな同じじゃなきゃダメ。 何か人と違うことをするとレッテルを張られる。 変なやつだと思われる。 そして、その中で不安とか孤独を感じてしまうわけですね。 これに関しては、最近私が有料チャレンジで読んでいる 「コンビニ人間」の中でも同じテーマで描かれています。
主人公の女の子はコンビニで働くパート社員で 結婚もしていないパートナーもいない子どももいません。 地元の友達は結婚していて子どもがいて そんな地元の友達は主人公の恵子とちょっと変わっている変だと思うわけですね。 結婚しないの?まだパートでコンビニで働いているの?と言われる主人公の恵子。 これはみんなと同じように行動していないからですね。 生きづらいんです。
2つ目、競争社会。 特に日本より韓国の方が厳しいみたいですね。 大学受験、就職活動。 早い段階から勝ち組、負け組で分けられてしまうんです。 この言葉、私、本当に嫌いなんだけど、日本でもよく使われますね。 人生の勝ち組、人生の負け組。 つまり、いい学校、お金がちゃんとある、安定した生活、安定した会社、それは勝ち組。 それに入った方がいい人生が送れるというプレッシャー。 すべてが競争になっていて勝ち負けで決められてしまうので、自分が好きなように生きられない。
3番目、感情を表に出しにくい世界、文化。 これは日本のことですね。 弱音を吐いちゃいけない、文句を言っちゃいけない、人に迷惑をかけてはいけないという考えがまだまだ根強くあると思います。 だから、どんなに心が苦しくても、辛いと言いにくい、助けを求めにくい社会なんですね。 だから、生きづらい。
こうした背景を考えると、この私が最近読んだ「三十の反撃」の登場人物たちが抱える苦しみは決して特別なものじゃなくて、 現在の社会の問題が描かれているんじゃないかなと思って、深く考えさせられたんです。
私のことを話すと、私も人生がスムーズ、すべてが完璧だったわけではありませんね。 今でもそうですし、昔もいろんなことを感じたし、特に私が日本に住んでいて、独身だったとき、生きづらさをたくさんたくさん感じてきました。 1つは、やっぱりこの全く主人公と同じ年頃ですね。20代後半から30代前半です。 結婚しなきゃとか、結婚しないのっていうプレッシャー、本当にありました。本当にあった。
あと、私は公務員として学校の先生をしていて、 日本も韓国も公務員といえば安定した仕事で、みんな安定した仕事を求めていますから競争率は高いです。 私はその競争率に勝って採用されて学校の先生になって、それは喜ぶべきことだったのかもしれないんですが、 でもね、本当に面白いのは、試験に合格して公務員になって先生として働き始めても、もっともっと生きづらさを感じたんですね。
普通は生きづらさ感じなくなるはずなのに、安定した給料をもらい始めたのに、でももっと生きづらい、なんか嫌だと思うようになった。 それはですね、私が働いていた学校の他の先生たちとの人間関係ですね。上下関係があって、パワハラ、セクハラもあったし、そして学校の先生はみんな偉そうに、こうじゃなきゃダメだみたいな感じで生きていて、 いろいろな考え方があって、それを子供たちに押し付けていて、え、なんか理想と現実って違うんだなぁ、ものすごく傷つきました。
私はその時とっても精神的に弱かったのかもしれませんね。 間違ったことをしている他の同僚の先生たちに、それは間違いですよと言えなかった。こんなはずじゃなかったと思って、辞めることにしたんですけど、私の場合は本当に一人で苦しみました。誰にも相談できなくて。 なぜなら、相談しても帰ってくることは想像できたんですね。
例えば、親に私もう辛いから学校の先生辞めるって言ったら、きっとどうしてこんなにいい仕事、こんなにいい給料をもらえる安定した仕事をなんで辞めるのと責められると想像ができたからです。 実際、退職届けを出した時に、同僚の先生、上司の先生、校長先生に呼ばれて、個室に何度も呼ばれて、なんで辞めるの?どうして?我慢して続けたらいいことあるよってたくさんの人に言われました。
でも私は自分の決心を変えなかった。人生を自分の手で変えたいと思ったんですね。 これまたこの小説と繋がるんだけど、この小説を読みながら、この主人公に自分を重ねましたね。彼女も結局、その仕事、その嫌だった、自分の本来したくなかった仕事を辞めて、やっぱり自分は自分らしく生きればいいんだと最終的に分かってですね。 この主人公は大企業に勤めることもせず、本当に小さい会社で正社員になるんです。でもそれはそれでよかった。とてもそこで彼女は自分の才能を開いていくわけです。
私もあの時つらかったけれども、あの決断をしてよかったかな。自分で人生を変えようとしましたね。自分で自分の人生をコントロールしようとできました。しようとしてそれができたと思います。 で、皆さんこのポッドキャストを聞きながら共感できた人も多いかもしれないね。あ、私もそうだ、そういう気持ちだって思う人が多いかもしれません。あの生きづらさをちょっとでも感じているなら、ちょっと立ち止まってですね。 自分は本当にどうしたいのか考えた方がいいと思います。
周りの人の意見、親の意見、友達の意見、それはあくまでもその人たちの意見であって、最終的に決めるのはやっぱり自分だと思います。 で、自分が自分の人生をコントロールする。そうすることでちょっと生きづらさを減らすことができるかもしれませんね。はい、そんな感じかな。うまく言えなかったけど、そういうふうにいろいろ考えさせられたとっても面白い本でした。
うん、生きづらさ。完璧じゃなくてもいい。自分で決めたらいいし、間違いを起こしてもいいんですよね。間違いから学べる。成長の一部だから。私はたくさんの間違いを犯したし、たくさんトライしました。 その度に傷ついたり失敗したり。でも少しずつ前に進んでいくわけですね。で、それは52歳になっている今の私も同じで、今でも完璧な人生は送れていません。いろんな問題がある。今でも実は、ああ、しんどいなって思うことたくさんあります。 はい、そんな感じで話してみました。ごめんなさい、まとまりがないけどね。でも、少しでもこれを聞いてちょっと考えて立ち止まってくれたら嬉しいです。今日はここまでにしましょう。またね。