Season 3-165 昔の旅と今の旅
村上春樹『遠い太鼓』
村上春樹『ふしぎな図書館』
村上春樹『ノルウェーの森』
村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』
沢木耕太郎『深夜特急』
はい、みなさんこんにちは。日本語のポッドキャスト、Japanese with NorikoのNorikoです。元気ですか? あのね、今日はちょっと長く話してみようと思っているんだけど、まずお知らせ、お知らせというか、新しいこと、ちょっと試しにやってみたいと思っていて、新しいことというか、実験、実験です。
同じポッドキャストの内容をSpotifyで流していたり、YouTubeでも同じ内容が聞けたりしますね。 いろいろなプラットフォームで聞けるようになっているんだけど、ビデオポッドキャストを最近頑張っていました。 ビデオポッドキャスト、このエピソードはYouTubeだけにしようと思っています。 YouTubeでは私の顔が見れるビデオポッドキャストで、音だけ、音源だけSpotifyで流そうと思っているんですね。
これはやっぱりビデオがいらないという意見も聞くんです。顔を見せたくないというわけじゃなくて、みなさんがより学習しやすい環境にしようと思っていて、これはちょっと脳科学と関係がありますね。 動画があって字幕があって、すべてあると頭の中のワーキングメモリーがいっぱいになっちゃうっていうこともよくあるので、Spotifyだけは音だけにしてみたいと思います。 本来の音ポッドキャスト。 動画も一緒に見たい、私の姿を見たいっていう人はYouTubeで聞いてください。 そんな感じで今日やってみたいと思います。
あとね、みなさん私、概要欄のところに最近ですね、だいたいなんかSummaryみたいな動画の簡単なまとめ文を英語か日本語どちらかで入れてますね。 できれば聞く前にそれを読んでおいたほうがいいと思います。 これも脳科学的に証明されていて、プレビューみたいな感じですね。 これから聞く内容はどんな内容なのかっていうのを簡単に知ってから聞くと、より深い学習となります。 はい、なのでみなさんこれもおすすめします。聞き方のテクニックですね。
今日は色々な本の話をしていくんだけど、テーマとしては旅行、旅の話です。 本と旅、『遠い太鼓』ともう戻れない旅。 キーワードとしては、村上春樹さん、沢木耕太郎さんという作家さんが2人出てきます。 そして昔の旅と今の旅、Norikoの考えについて話していきたいと思っています。 はい、ちょっと長くなるから頑張って聞いてくださいね。 コーヒー片手に聞いてくれると嬉しいです。 飲み物片手に聞いてください。
でね、今日まず紹介したいのは村上春樹さんの旅行エッセイ、『遠い太鼓』という本です。 『遠い太鼓』。 最近ようやく読み終えたんですけど、ものすごく面白かったんですね。 まず私、皆さんに言いたいことがあるのは、やっと53歳になって、やっと村上春樹を読み始めました。 ちょっと恥ずかしい告白です、本当に。 いつも本が好きです、読書が趣味ですと言ってるんだけど、今までちゃんと村上春樹の本を読んでこなかったんです。 なんか勝手に自分は苦手だろうなって決めつけちゃってたんですね。恥ずかしいことに。
村上春樹さんといえば、おそらく海外で最も有名な日本人作家のお一人ですよね。 皆さんもたくさん読んだことがあるんじゃないですか。 日本語じゃなくて、翻訳された村上春樹の作品を読んだ人たくさんいると思うんです。 私の生徒さんの中にも、いつか村上春樹さんの本を日本語で読みたいという人がたくさんいます。 そんな状態で私は読んだことがなかったので、ちょっと恥ずかしかったし、ひけ目を感じてきました。 いつか、どこかのタイミングで読まなきゃいけない。 でもその「いけない」という気持ちがプレッシャーで、なかなか踏み切れなかったんです。
でも今年、やっとまずこの本を読みました。 これは村上春樹さんと佐々木マキさんの絵で書かれた不思議な小説、『ふしぎな図書館』。 タイトルは『ふしぎな図書館』。とても薄い本で、これ実は日本語学習者さんにおすすめできます。 すごく簡単な文章で、JLPT N3ぐらいでも、言葉の辞書を使いながら頑張れば読める、大きさ、長さ、内容ですね。 私ね、美容院に行ってるときに、美容院、女性だと1時間ちょっと時間かかるんですけど、その間に一気に読み終えた本です。 で、ものすごく面白かった。本当に面白かったんです。 え、こんなに不思議で、こんなに面白いの?と思って、これは次2冊目読まなきゃいけないと思ったんですね。
たださ、村上春樹さんの小説って長いでしょ。長編が多くって、やっぱり手に取りづらい。 で、どうしよう。読みたいけど、ちょっとなんか時間もないし、どうしようと思ってたときに、あるコメントを見たんです、インターネットで。 エッセイを読んでみたらいいと思う。小説が長すぎるとちょっとなーっていう人はエッセイをおすすめします。 エッセイを探したときに、この『遠い太鼓』というエッセイのおすすめが出てきました。
で、実はこのエッセイは長いエッセイなんです。 で、私、オーディオブックを聞いたんですけど、約15時間ぐらいだったかな。 オーディオブックでエッセイとしてもとても長いんだけど、手に取った理由は旅行エッセイということだったんですね。 で、ちょっと内容を話すと、村上春樹さんは若いとき、1986年から1989年の約3年間、奥様と一緒にヨーロッパを旅行されてるんですね。 で、主に滞在されていたのはギリシャとイタリアなんですけど、 この時の村上春樹さんの生活は、ちょっと一つの町に長く滞在して、そこに住むような形で旅行されてるんです。
で、また次の土地で長く滞在して、また次の土地、みたいな感じで、旅行と移住の間のような生活、今の言葉で言うならノマド生活なんですね。 ノマド生活、そういうデジタルノマド、今なら普通の時代になったけど、これはスマホとかない時代ですよね。 でも、その時に村上春樹さんは、ノマド生活に近い生活をして、ヨーロッパで一つの町に滞在、長くしながら小説を書いていたそうなんですね。 で、この時期に書かれたのが『ノルウェーの森』だったり、『ダンス・ダンス・ダンス』だったりするそうです。
で、私はいずれも読んだことがないので、また本当に読みたいと思っているんですが、そういう旅行のエッセイが『遠い太鼓』。 で、私も旅行がすごく好きなので、これは最初に読むのにすごく私に合ってるんじゃないかと思って、オーディオブックで読み始めたのが『遠い太鼓』。 で、今週終わったばっかりなんですけど、めっちゃ良かったです。本当に。 で、皆さん、旅行が好き、村上春樹にチャレンジしたいっていう方は、『遠い太鼓』というエッセイを100%Norikoはおすすめします。
でね、これは今の時代の旅行と違うので、ずいぶん面白いポイントがたくさん出てきます。 で、一つは、今ならインターネットとかスマホで簡単に解決できそうなことが、昔はそうじゃない。 で、それに関してたくさん村上春樹さんは苦労したみたいですね。 交通手段、郵便、役所の手続き、そういうことが難しかった時代です。手続きとかが。 で、やっぱり今の感覚で理解できないようなこと、起こり得ないようなことがたくさん起きているんですね。 プラス、日本ではこんなことが起きないだろうということがやっぱり起きていて、特にイタリアで起きていて。
で、村上さんはそういうことに対して文句を言っています。 でもその文句は決してなんか、うわーなんか文句言いすぎじゃない、ネガティブしすぎじゃないっていうような感じじゃなくて、経験としてやっぱり面白おかしく書いてあるんですね。 で、やっぱり作家さんだから、皮肉っぽいその書き方がとても村上さんっぽくていいなと思って、面白いなと思って最後まで楽しんで読めました。
旅行って楽しいだけじゃやっぱりないんですよね。 で、私もいろんな旅行してきたから、そういう失敗談とか、やらかしちゃったエピソードあるんだけど、 そういうことの方が思い出に残っているし、そういう経験の方が人を成長させるというか、村上さんもそういうことを書いていました。 だから、こういう長期になればなるほど大変なこともやっぱりあるし、暮らすような旅行だとやっぱりトラブルも多い。 でもその大変さが人を成長させる、より深い旅になる、共感できたというところだったんですよね。
例えば、私はイギリスに住んでいます。 もう長くなるんだけど、一見ね、イギリスに住んでいますとかいうと、 よく日本人の人ね、私のこと知らない人は、素敵ですねとか、かっこいいですねとかいう人いるんですけど、 いや、そうじゃないです。そうじゃない。やっぱり住むって、どこに住んでいても大変なんですよ。 大変なことの方が実は多いでしょ。 普段、自分たちの生活で大変なことたくさんあるじゃないですか。 海外に暮らしていても同じですよ。 毎日の生活って結構いろいろ起きます。
そういうこと、この海外にかかわらず生活することの大変さ。 あとはその先入観ですよね。 日本だったら当たり前だけど、海外だと当たり前じゃない。 それに対してどう向き合っていくかみたいなこともそこには出てきます。 例えば村上さんがイタリアのそういう政治的なシステムにイライラする場面が結構出てくるんだけど、 私はわかるわかると思う一方で、それってでも海外で暮らす面白さなんだよなと思いました。 違いがありすぎて、そこに批判するんじゃなくて、それを受け入れていくというプロセス。 面白いですね。 それを客観的に村上さんが文章にして残しているから、この『遠い太鼓』って面白いのかなと思いました。
あと、もう一つ今度は沢木耕太郎さんの本について話していきたいんですね。 ここに私は日本から持ってきた本がありますね。 ずいぶん昔に読んでるんです。 もう何度も読み返した本で、たぶん私は今までで一番好きな本です。 その理由は私の人生を大きく変えた、影響力を持っていた本なんですね。 20代の時に読んでいるからこそ深く影響を与えた本なんですけど、 その名は沢木耕太郎さんの『深夜特急』。 これ、文庫本で6冊あります。
で、これはね、沢木耕太郎さんが香港から始めてロンドンまで行く旅行の話なんですね。 いろんなことがもちろん起きるんです。 この時この時代やっぱりインターネット・スマホがないので、 ホテルとか予約するのも自分で探して、足で探して、電話してとか。 ほとんど行き当たりばったりで探しているバックパックの旅行で。 私はこれを読んだ時に、うわー、こんな旅をしてみたいと思ったんです。 これこそロマンというかアドベンチャーというか、 20代のNorikoはこういう旅行をしたいと思ったんですね。
実際私は旅行に出かけました。 沢木さんみたいに長期じゃなかった。1年以上じゃなかったし、 1ヶ月くらいかな。長くても。 でもアルゼンチンに行ったりメキシコに行ったりスペインに行ったりしたんですが、 どうしてこういう旅行のスタイルに憧れたのかな。 なんかとにかく全てを放り出して、世界を見たいと思ったんでしょうね。 その時のNorikoは。 そこについてくるいろいろな危険性のことまで考えなかったんですよね。
今思えば、あとその時の周りの人は、 私はその時公務員として学校の先生をしてましたから、 安定した仕事でお金的には苦労しない仕事をしていましたね。 私は仕事を辞めると言った時に、みんなは反対しました。 いろんな理由があったけど、安定している仕事を辞める必要があるのかとか、 そんな旅行をして意味があるのかとか、 とにかくNorikoはちょっと狂っているみたいな感じのコメントをもらいましたよね。 どうして?どうしてそんなことをするの?理解できない。
私は周りに理解を求めようともしませんでしたね。 とにかく日本を出たかったんです。 日本から逃げるという意味もあったのかもしれないけど、 私はあのチャンスを逃したら、もう二度とできないかもしれないという焦りがありました。 それは全くここに出てくる沢木耕太郎さんの心境と同じです。 人生にはそういうタイミングがあると思います。 今これをしないと二度とできないかもしれない。 私はそういうことを感覚的に感じてやってみたんですね。
実際1ヶ月ぐらいの旅行だったけど、それを2回繰り返したのかな。 でも南米から帰ってきた時、中南米から帰ってきた時に、 なんかすっきりしたNorikoがいました。 なんか人生リセットできた気がした。 で、新しく何かを始めようという気持ちが出てきましたよね。 で、その時に日本語教師という存在を知って、 日本語教師の資格を取って、人生が変わっていったわけです。 そういう意味で、人生を変えた本、『深夜特急』。 そして、やっぱり旅行って、何か人生を変えるきっかけになると思います。
ただね、あの時の旅行、今できるかといったらできないんだよね。 で、それは53歳のNorikoは、ちょっと今そういう旅行ができないから、 もういい意味で歳をとったんだなと思います。 若い時、若さゆえの旅行スタイルがあるんですよね。 お金がないからこその楽しめる旅行があるんだよね。 今のNorikoは、いいホテルに泊まれるお金がある。 5つ星じゃないけど、ベッドにちゃんと、ふわふわのベッドで寝たい。 お風呂がついている部屋に泊まりたいと思うんだよね。
若い時は、お金がなくてもよかった。 シャワーは共同でもOK。ユースホステルでもOK。 でもそこでいろんな人に出会えるからOKだったんですよ。 今のNorikoは、ちょっとそれがもうできないんですよね。 若い時は、沢木耕太郎さんみたいにバスに乗って、 『深夜特急』じゃないけど、バスに乗って、夜行バスに乗って、 安い旅行をしてもよかったんです。体力がありました。 今のNorikoは体力がない。 だからできるだけお金を払ってでも、早くそこにたどり着いたほうがいい。 長距離バスだと腰が痛いとか考えるわけですよ。 悲しいですね。 やっぱり年を取れば取るほど制限がかかってくるわけです。
あと、昔の旅行と今の旅行の違いね。 私の時代ですよ。私の時代、皆さん。 私が20代旅行した時にスマホがなかったので、紙のガイドブックを持って歩いてたんですよね。 でもそれはそれでいい思い出ですよ。 紙のガイドブックで読んで、付箋をつけたり、折り曲げたり、線を引いたりしてね。 紙のガイドブックに出てくるホテルに行ってみたり。 そういう旅行のスタイルだし、地図も紙の地図です。 その当時の私は、紙の地図を読むことも大丈夫だったんですよね。 今ならもう想像できない。スマホでGoogleマップでしょ。 ナビもあるでしょ。もう地図を読むということ自体なくなったじゃない。
うわぁ、ずいぶん旅のスタイルは変わってきましたね。 ガイドブック一冊だけに頼っている旅行と、スマホの情報に、インターネットの情報に頼る旅行。 どうですか。今思えば便利になったけど、便利すぎて、トラブルを楽しめなくなっているというか。 あの時私は、トラブルありましたよ。いろんなトラブルありました。 バックパッキングで、予約せずにその町に到着して、ガイドブックを見て行って、 でも何軒も何軒も予約がいっぱいで、うわぁどうしようって焦ったみたいなこともあったし、 ユースホステルに泊まって、お金を盗まれたみたいな経験もあったんですよね。
それはそれで危険なんだけど、トラブル起きた時に、自分で解決しようみたいなサバイバルスキルが身についていた気がするけど、 今ってあまりにもスムーズで、やっぱりスムーズすぎて、それがいいことだけど、なんか経験としてどうなんだろうみたいな、 そういう経験、トラブルがちょっと懐かしいですね。昔のスタイルで。そういうことを感じました。
皆さん実際そうですよね。100%スムーズに行った快適すぎた旅行よりも、何かトラブルがあった、失敗したのほうが鮮明に覚えてますよね。 その時は必死で全然楽しくないかもしれない。もう最悪だって思ってるかもしれないけど、何年か経つと、それこそそれがいい思い出話になるんだよね。 なので、今のスマホ、デジタルの世界、AI、この便利さは私たちに安全性をくれて、より快適さをくれるんだけど、 物語として、旅の物語性はちょっと減ってるのかな、なんて考えたりしました。
だからこそ、この村上春樹さんの『遠い太鼓』で出てくるいろいろなトラブル、面白いと思って読めたんですよね。 そしてこの村上春樹さんだけじゃなくて、沢木耕太郎さんの『深夜特急』で描かれているいろいろな問題、失敗、心の葛藤、すごく心に響くんです。
まあさ、AIの話で言ったら、実は先日私はパリに行ってきましたけど、初めてじゃなかったですよね。 でも今回、新しいことをやってみたんですね。 AIを使ってプランニングしたんです。 こことここに行きたいから、移動方法とかを含めてプランを作ってください、みたいな。 楽ですよ。楽なんだけど、一生懸命自分で調べるとか、そういうことがないですね。 それもちょっと考えました。ここまで楽をしていいのかな、みたいな。 自分で旅を作り上げる面白さには欠けていたかもしれません。 本を読んで、いろいろ考えさせられたんですね。
じゃあ、まとめていきたいんですけど、皆さんにも質問投げかけたいですね。 皆さんには人生を変えた本がありますか?または人生を変えた旅がありますか? 私みたいに本を読んだことがきっかけで、実際にどこかへ行ったっていうことがありますかね?
じゃあ、私と同じ世代の人にも聞いてみたいです。 スマートフォンがなかった時代、その頃の旅行のスタイル、旅行のやり方、懐かしく思いますか? 今まで一番記憶に残っている旅、すべて予定通りに行った旅だったでしょうか? それともトラブルがあった、ハプニングがあった、失敗した旅行の方が、やっぱりよく覚えていますか?
はい、皆さんここまで聞いてくれてありがとうございます。 皆さん興味がある人は、この村上春樹さんの『遠い太鼓』、そして沢木耕太郎、私、本当に大好きです。 『深夜特急』、手に取ってみてください。 今日はここまでです。長いエピソードを聞いてくれてありがとう。